徳島県那賀郡那賀町木頭地区(旧木頭村)の地方創生に取り組むKITO DESIGN HOLDINGS グループが運営する「未来コンビニ」は2021年11月12日、日本最大級の空間デザインアワード「日本空間デザイン賞 2021」のグランプリ「KUKAN OF THE YEAR 2021/日本経済新聞社賞」と、ショップ空間部門「金賞」をW受賞しました。これにより未来コンビニは、世界三大デザイン賞「レッド・ドット・デザイン・アワード」の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」などに続き、国際デザインアワード5冠達成となりました。
<日本空間デザイン賞について>
「日本空間デザイン賞」は、一般社団法人 日本商環境デザイン協会(JCD)と、一般社団法人 日本空間デザイン協会(DSA)がそれぞれ長きにわたり開催してきたデザインアワードを合併し、2019年に新設された日本最大級の空間デザインアワードです。
本賞は、複雑化する社会の中で生まれる多面的な問題をデザインの力によって解決に導き、希望溢れる未来を切り拓くこと、及び空間デザインの価値を未来へ繋ぐことを使命としています。
‟日本文化において、「空間」は物理的なスペースであるだけでなく、その「間」に生じる人々の心の動きや物事の変容、時の流れをも意味します。空間をデザインすることは、人々に、社会に、時代に、大きな可能性を創りだすことなのです。
-日本空間デザイン賞 公式ウェブサイト(https://kukan.design/)より引用
日本中のデザイナー、クリエイター、設計者、エンジニアや研究者が対象となる本賞には、全国から例年1,000件以上の応募が集まります。応募は「オフィス空間」「博物館・文化空間」や「ショップ空間」など、作品の目的によって全11部門に分かれます。
審査は、日本商環境デザイン協会(JCD)と、日本空間デザイン協会(DSA)に所属する専門家、及び協会審査員により、それぞれ「社会性」「革新性」「持続可能性」など計7つの審査基準に基づき評価が行われます。三次審査を通過した作品が最終審査を受け、各部門の優秀作品には、順に金賞・銀賞・銅賞が授与されます。未来コンビニは2021年11月12日、「日本空間デザイン賞」応募887作品の中から、「ショップ空間部門」において最優秀賞となる「金賞」、さらに全部門の金賞作品から選ばれるグランプリ「KUKAN OF THE YEAR 2021/日本経済新聞社賞」を受賞し、W受賞を達成しました。
また、未来コンビニは2021年11月、アジアを代表するデザインアワード「DFA Design For Asia Awards 2021(主催:香港デザインセンター)」の環境デザイン/建築部門においても、1200件以上の応募から26件の受賞となる「銀賞」を獲得しました。これにより、8月に発表された世界三大デザイン賞「レッド・ドット・デザイン・アワード 2021」のリテールデザイン部門「ベスト・オブ・ザ・ベスト」など2種に続き、未来コンビニは現在国際デザインアワード受賞5冠達成となります。
【未来コンビニ 国際デザインアワード受賞状況】
・レッド・ドット・デザイン・アワード2021(ドイツ)リテールデザイン部門 最優秀賞 「ベスト・オブ・ザ・ベスト」賞
・ICONIC AWARD 2021: Innovative Architecture(ドイツ)建築部門「Winner」賞
・DFA Design For Asia Awards (香港)環境デザイン/建築部門「銀賞」
・日本空間デザイン賞 2021 (日本) ショップ空間部門 「金賞」
・日本空間デザイン賞 2021 (日本) グランプリ 「KUKAN OF THE YEAR 2021/日本経済新聞社賞」
*参考:
8/21発表「レッド・ドット・デザイン・アワード」にて「ベスト・オブ・ザ・ベスト」受賞https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000067279.html
8/24発表「ICONIC AWARDS 2021: Innovative Architecture」にて「Winner」受賞https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000067279.html
■未来コンビニのコンセプト -“子供は未来から来た未来人”-
未来の主役である子供たちには、無限の可能性と未だ見ぬ幾多の選択肢があります。
この未来コンビニという場所が、未来の主役である子供たちに響くように。子供たちの未来に何かを与えられるように。未来コンビニは、そんな願いから生まれた“子供は未来から来た未来人”というコンセプトをもとに名づけられ、2020年4月に誕生しました。
■未来コンビニ、そして私たちの「挑戦」
木頭地区(旧・木頭村)は徳島県と高知県の県境に位置し、人口約1,000人のうち65歳以上が過半数を占める”限界集落”です。この村は東西に大きく広がり、村の端から端まで移動するには車で30分以上を要するほど広大な地域です。未来コンビニは、この広大な村の最西端、居住人口がたった約200人の「北川集落」と呼ばれる地域に建築されました。
北川集落には商店が無く、最寄りのスーパーまでも車で約1時間かかるなど、生活必需品の買い物が非常に不便な環境下から、いわゆる「買い物難民」が生まれていました。
未来コンビニ誕生の背景の一つには、このような地元の人々の買い物環境改善がありました。
この僻地にコンビニという施設を新たに建築し、通り道にすぎなかった場所を「訪れるべき場所」に生まれ変わらせ、訪れる全ての人と地域とを繋ぎ、木頭の未来を紡ぐ。この未来コンビニの取り組みは、過疎化・高齢化など地方が抱える課題に対する、木頭プロジェクトとしての大きな「挑戦」の一つでした。
■ 未来コンビニの建築デザインについて
”世界一美しいコンビニ“をデザインコンセプトに設計された未来コンビニのある木頭地区は、西日本第二位の標高を誇る剣山をはじめ標高1,000mを超える山々に囲まれ、その自然の豊かさから別名「四国のチベット」とも呼ばれています。また、柚子の原生林が多数存在し、日本で初めて柚子の接ぎ木に成功し柚子栽培を全国に広めた地でもあり、特産品「木頭ゆず」の品質の高さは国内外で高く評価されています。
この木頭の“自然との共生”が、未来コンビニのデザインテーマの一つです。
デザインの軸となるY字のトラス構造は、木頭の特産である柚子畑をイメージして設計され、明るいイエローに塗り分けられました。道路に面した壁一面をガラス張りにし、店舗の外には、経年変化を楽しめる国産の松の木の素材でできた水はけの良いウッドチップを敷き詰めることで、雨の多い木頭の美しい自然との一体感を店内からも感じられる設計となっています。
また、子供たちへの目線も設計に反映されています。店内の陳列棚は、子供たちや地元の高齢者の方が商品を手に取りやすいようにと一般のコンビニよりも低めに設計され、これにより解放感のある空間を実現しています。
店内奥は「木頭ゆず」のオリジナルメニューを体験できるカフェスペースや、子どもたちが様々な絵本や美しい木頭の映像を楽しめるエリアとして設計され、人々が気軽に集まれる交流の場として地元住民や観光客に愛されるとともに、木頭のアイコン的存在となっています。
- ■KITO DESIGN HOLDINGS株式会社 代表取締役 藤田 恭嗣
「木頭で生まれ育つ子供たちが、いずれこの地の未来を変え、日本を、そして世界をも変えうる力となるように。そのために広い視野を養い、志高くその芽を育てられるように。そして、あらゆる人が世界中から、このために訪れたくなる場所となるように。
そんな想いを込めて設計した未来コンビニが、国際的なデザイン賞に続き国内においても、社会課題にデザインのアプローチで向き合うことを目的とした権威ある賞、“日本空間デザイン賞”にて部門金賞受賞、そしてグランプリであるKUKAN OF THE YEARを頂けたことは、この日本の小さな村の挑戦に対する社会的な関心度の高まりとして受け止めています。今後も、木頭のような地方からこそ発揮できる影響力について模索し、持続可能かつ発展的な活動の継続を目指します。」
プロフィール
1973年、徳島県那賀町木頭地区生まれ。94年大学在籍時に創業、96年有限会社として法人化し、99年に株式会社メディアドゥ設立。2013年東証マザーズ上場、16年に東証一部へ市場変更。同社代表取締役社長CEOを務めるとともに、2013年、過疎化が進む故郷・木頭の創生計画の柱として、木頭ゆずの栽培・加工品販売会社である「株式会社黄金の村」を設立。2017年、木頭の地方創生事業として「全ての人が笑顔になれる、奇跡の村を創る」をビジョンに掲げKITO DESIGN HOLDINGS株式会社を設立。「木頭プロジェクト」としてキャンプ場の再生事業『CAMP PARK KITO』や『未来コンビニ』の設計など様々な事業を手がける。現在も多数のプロジェクトが企画進行中。
■ KITO DESIGN HOLDINGS株式会社 取締役/クリエイティブ・ディレクター 鵜野澤 啓祐
「人口約1,000人の限界集落にできた未来コンビニは、この地域の子供たちの未来を創る地域再生の場所。
過去・現在・未来の時を繋ぐシンボリックなデジタルクロック。日本の絵巻をイメージした横長スタイルのガラス空間と
豊かな自然との共生を実現した建築物は、夜には満天の星に抱かれます。
ここには子供や高齢者に寄り添う空間設計、什器のデザインがあり、カフェスペースでは地域を活性化する企画が日々実現しています。
子供たちが文化的な刺激を受け、創造性を養える場所になるようデザインに想いを込めました。
私たちの未来を創る空間が”希望あふれる未来を切り拓くことが使命”の
日本空間デザイン賞「KUKAN OF THE YEAR 2021」を受賞できたことを大変光栄に存じます。」
プロフィール
1964年東京生まれ。コンセプトの立案からデザイン構築まで一気通貫したクリエイティブを行い、ニューヨーク近代美術館のクリスマスカードのデザイン、Virgin Atlantic航空のブランディングなど数々の企業やブランドのBI、CIを手がける。株式会社ヴィーナス・スプリング代表取締役。2017年よりKITO DESIGN HOLDINGS株式会社取締役に就任し、木頭プロジェクトのデザイン統括を行う。「未来コンビニ」のクリエイティブディレクション、グラフィックデザインを手がける。
■ コクヨ株式会社 クリエイティブデザイン部部長/チーフデザイナー 佐藤航(建築・デザイン担当)
「日本一の賞を受賞できたことに、大変感謝いたします。そして建築・インテリアデザインを担当し、木頭プロジェクトの皆様の想いを形にできたことを非常に誇りに思います。
子どもを育み木頭の未来をつくる、そのためのコンビニとはどのような建築なのか。熟考を重ねた結果、これまでの地方や子どもにおけるデザインの延長上ではなく、木頭の大自然やアイデンティティを取り込み、地元の方が誇りに想い、世界から共感を呼ぶ建築が必要だと考えました。KITO DESIGN HOLDNGSおよび木頭の皆様、そして設計チームであるコクヨ、GEN設計、HKL&Dの皆様、建築施工の北岡組の皆様、そしてプロジェクトに関わったすべての関係者に改めて感謝申し上げます。そして心より、おめでとうございます。」
プロフィール
1979年神奈川県生まれ。2003年、東京工業大学大学院卒/コクヨ入社。2021年、同クリエイティブデザイン部部長/チーフデザイナー/一級建築士。WORK・LIFEにまたがる多様な領域を建築からプロダクトまでスケール横断でデザイン。主な受賞暦/Reddot Best of the Best ICONIC Award Win、German Design Award Win、DFA Award Silver、BAMBOO AWARD Gold、JCD新人賞、SDA最優秀賞、その他国内外で受賞多数。
- ■KITO DESIGN HOLDINGS グループについて
徳島県那賀町旧木頭村出身で、電子書籍取次国内最大手の株式会社メディアドゥ代表取締役社長CEOの藤田恭嗣が手掛けるKITO DESIGN HOLDINGSグループは、「全ての人が笑顔になれる、奇跡の村を創る」をビジョンに掲げ、キャンプ場の再生や空き家の活用、特産の木頭ゆずを使用した加工品販売など、持続可能な故郷を作るための地方創生に取り組んでいます。
2018年10月には閉鎖していた旧美那川キャンプ場(那賀町木頭折宇)で、グランピングを楽しめる「CAMP PARK KITO」をグランドオープン、2020年4月には木頭地区の買い物環境の改善や、地元の子供たちの交流の場として「未来コンビニ」をオープンしました。2021年7月には木頭ゆずオリジナルスイーツショップ「YUZU CAFE Kitchen」をJR徳島駅コンコース内にオープンし、現在も様々なプロジェクトが企画進行中。
木頭からこれらの発信を通して、全国の限界集落の地方創生のロールモデルを目指し、様々な事業を展開しています。
本リリース・取材に関するお問い合わせ先
KITO DESIGN HOLDINGS株式会社 広報 原
TEL: 090-4869-2707 / Email:pr@kito-dh.jp